遠藤彩見・幻冬舎文庫・2013年
元一流シェフの男性が、給食調理員として働くことになるという内容です。
この作品はシリーズ化されています。現時点では、2冊目まで読んだところです。
主人公の第一印象は、正直に書くと、マイナスイメージしかありませんでした。
怖くて近寄りがたそう、子どもが嫌いなのに小学校で働くことを選ぶのは信じられないなどと考えていました。
しかし、気がついたらいつの間にか、格好良くてこのような人が実際にもいたら良いなと思うようになっていました。
仕事によって彼が成長したからというのもありますが、それだけではないような気がします。
舞台となっている小学校では、様々な問題が起こります。
現代の日本を反映しているような出来事が多く、子どもと接する機会の多い人ならば、身近に感じるのではないかなと思いました。
それらを主人公は、給食を通して解決していきます。
この作品のようにうまくいくことは、実際にはほとんどないかもしれません。
けれども、物語の中で成功している描写があると、すっきりとした気分になりました。
この作品を読むことで、かつて通っていた小学校の給食調理員のことを振り返りました。
箸の使い方を教えに来ていたことがあるような気がしますが、記憶が定かではありません。それ以外のことは、全く覚えていません。
そのため、名前を覚えられるくらい児童と関わりを持っている、この小説の給食調理員をすごいと思いました。
だからといって、実際に働いている給食調理員の方々がすごくない訳ではありません。
作中には、大量調理や安全管理の大変さも書かれています。自分には絶対にできないだろうというものが多く、尊敬できる仕事だと感じました。
また、働いている場所は異なるものの、自分の職業上、ノロウィルスの恐怖はよく理解できるので、安全面に関する描写には共感できました。
希望としては、ドラマかアニメといった、映像化されたものも見てみたいと感じた小説でした。
2017年10月5日追記……シリーズ3冊目も読みました。ラストがすっきりして、綺麗に終わっていたという印象を持ちました。
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