池谷考司・幻冬舎文庫・2017年
著者が取材した内容が元となっているエピソードが複数書かれている本です。
テーマはタイトルにある通りです。
本文では、被害者が加害者に抵抗できない理由が書かれている場面がいくつかあります。
その中の大部分を占める、「相手が教師だから」というものは、自分が子どもだった頃のことを思い出すと、納得できました。
「人に嘘をついてはいけない」と習った義務教育を受けていた間のほとんどは、学校の先生の発言は事実だと信じていました。
今でならおかしいとわかるのですが、小学5年生のときの担任が言っていた、「先生の仕事をしていないときは芸名で俳優をしている」ということさえ、本当のことだと思っていました。母親には「先生が嘘をついている」と言われたのですが、当時は世の中には冗談というものがあるということを知らなくて、母親の方が間違っているのだと勘違いをしていました。
この件に関しては、同じクラスだった他の人たちは先生の話を聞いたときに笑っていたので、私が特殊なだけかもしれません。
ただ、この経験から、教師にとっては「冗談のつもり」である言動も、児童・生徒には冗談とは取られないこともあるということが言えると思います。
また、他の理由として挙げられている、当事者以外の周囲の反応に問題があるという点についても、理解できるところがありました。
そして、何かしらの事件が起こったときは、当事者の周囲という立場になる人が1番多いはずなので、それぞれが気を付けなければならないと考えました。
スクールセクハラというものは、どこでも起こる可能性があります。
そのため、この本に書かれていることは、多くの方に知っていただきたいと思います。
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