フリーゲームを中心に好きなものの感想を書いています。 ※探索系のゲームと区別がつきやすいように、文章を読んで進めるタイプのものはADVであっても基本的にはノベルとして扱っています(ただし、ツクール製の場合などまれに例外があります)。制作者名を表記して欲しいという要望があれば、教えて頂けると嬉しいです。コメント返信等に関する注意書きは「はじめに」カテゴリに載せています。
夢枕獏・文藝春秋文庫・1991年
陰陽師・安倍晴明の活躍が描写された物語です。
この小説は、中学生だった頃気になっていた人が教室でよく読んでいたものです。
これ以外の本を読んでいるところは見たことがなかったので、そんなに面白いのだろうかとずっと疑問に思っていました。
今までに何度か本を手に取ったことはありますが、読む動機が不純であるように感じてすぐに元の場所に戻していました。
それでも中身を確かめたくて、最近購入しました。実際に読んでみたらとても面白かったです。
とはいっても、憶測しかありませんが、読むきっかけとなった人が夢中になっていた理由と、自分自身がこの小説を面白いと感じた理由は、はなんとなく異なるような気がします。
大抵の人であれば、主人公である晴明に強い印象を受けるのかもしれません。
彼はすごい能力を持っているのですが、それ以上に主人公の友人である源博雅が私にとっては興味深い存在でした。
博雅は正直で、自分の考えは素直に言うという性格をしています。
特に晴明がどのような人物なのかわからないときには「わからない」という言葉を、活躍したときには褒める言葉を本人に直接伝えていたことに、尊敬の念を覚えました。
登場人物の描写も好きですが、台詞の言い回しや言葉遊びのような文章も自分好みだと思いました。
後者に関しては、各章の始めに提示される謎が解明する場面で使われていて、「そういうことだったのか」と驚くことが何度かありました。