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お気に入りと自由帳

フリーゲームを中心に好きなものの感想を書いています。 ※探索系のゲームと区別がつきやすいように、文章を読んで進めるタイプのものはADVであっても基本的にはノベルとして扱っています(ただし、ツクール製の場合などまれに例外があります)。制作者名を表記して欲しいという要望があれば、教えて頂けると嬉しいです。コメント返信等に関する注意書きは「はじめに」カテゴリに載せています。

鼓草

15歳以上推奨・一部性的表現あり・Light.vn製・乙女ゲー・
和風・中編・難易度低め・ED5種類・攻略対象2人

1人の女性が、医者の家へ嫁がされるという内容です。
太平洋戦争中及び戦後の岡山が舞台となっている作品です。

参考文献が多く、時代考証がしっかりとされていてすごいと感じました。
当時を生きた人々の生活習慣や心情などに関して、授業やニュースでは触れられない面についても語られていて、好感が持てました。

誰もが厳しい状況を強いられるし、そのような世の中を生き抜く自信はないので、戦争自体には反対派です。
ただ、実際に戦争を経験された方から、「お国のために戦った」、「戦争をしてきたからこそ今の日本がある」といった言葉を聞いたことがあります(どのような対応をすれば良いかわからなかったので、何も答えられませんでした)。そのような方々からすると、「戦争をしなければ良かった」と言われることは、命懸けでしてきた努力や大切な人が犠牲になったことを否定されるようで、きついものがあるのではないかと考えます。
作中でもそれに近い場面はあり、深い物語だと思いました。

また、脇役を含め登場人物それぞれが、いがみ合ったり、悪い噂話をされたり、時世の変化によって評判を落とされたりするシーンがあります。
いつ頃のものだったかは忘れましたが新聞の社説に、「どうしてうちの子は死んだのにあなたは生きてるの」と言われた人がいたらしいと書かれていて衝撃を受けた記憶があり、それを思い出しました。
当時ほど酷くはないと思いたいのですが、こういった人間関係は、現代にも通じるものがあるような気がしました。

エンディング分岐に関わる選択肢は、どれを選んでも必ず何かしらに後悔するとわかりきったもので、迷いました。
それでもこの物語の主人公は、悩みながらも現実をしっかりと受け止めようとするため、強さを感じました。

製作者の方のサイトはこちらです。

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